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第10回 知を磨き合う最善の場「会議」
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◆会議は最大のロスタイム
会議は最大のロスタイム、と認識していなければならない。訪問効率を口うるさく言う営業リーダーが、会議になるとたちまち非効率的になっている。
前回触れた「積み上げ会議」は、その典型であろう。あの会議からは、何が生まれてくるのだろうか。上司の罵声とMRのため息。
昔、「のるま」なる言葉が、営業の世界を支配していた。「のるま」とは、シベリアに抑留されていた人たちが持ち込んだ言葉である。決まった時間に、これだけの成果を上げよ。何とも、いまわしい言葉ではないか。
古いタイプの代表的な営業会議を覗いてみたい。
・ワンマンショー……朝から営業リーダーが一方的にしゃべりまくり、会議が終わったら自分の馴染みの店へ部下を連れてゆく。
・おれおれ先……「きみ」「きみたち」という人称を知らないらしく、「おれが」を連発する営業リーダー。
・ピンポン害口……病医院名をあげては、MRひとり一人に攻略状況を問い続ける。当該MR以外は無為な時間を過ごしている。
・保育士さん……幼稚園児に接しているがごとく、わかりきったことを執拗に説明する。
・オタク……データーが大好きで、膨大な資料を作成しては、注意をうながす。
・丸投げ……製品プロモータにMRを指名し、プログラムを丸投げしてしまう。
◆ラ行の言い訳小僧
著書にも書いたので、読んだ方がいるかもしれない。営業会議に参加すると、耳障りな単語が気になる。
営業リーダーの追求を逃れるMRが発する言い訳である。この言い訳は、「ラ行」で語られることが多い。こんな具合である。
「課長、○○社のMRは十年以上も担当しているのです。簡単にはいきませんよ」
これがライバルを理由にする「ラ行の言い訳小僧」第1号。続けてみよう。
「課長、それはあまりにもリスクが大き過ぎます。出入り禁止にでもなったらどうするのですか」
「課長、病院のルールですから、それはできません」
「課長、レジメでがんじがらめですから、増量は望めません」
「課長、○○先生がローテーション(転勤)でいなくなりました。しばらくは、難しいですね」
カタカナ表記の頭文字に注目していただきたい。これで「ラ行の言い訳小僧」は完結している。
笑いごとではなく、耳をそばだててみて欲しい。営業リーダーの追求を巧みに交わすMRは、「ラ行の言い訳小僧」を連発しているのだ。
「ラ行の言い訳小僧」を、ポジティブに活用する方法がある。5つの単語を思い出してもらいたい。病院を攻略しようと思ったら、最低限調べておきたいことばかりなのである。
ライバルメーカーのMR活動を徹底的に調査する。リスクやルールは理解しておかなければ、大失敗することがある。レジメはMR活動の死活問題である。そして医師のローテーションは、大学病院担当者との連携が重要となる。
◆メリハリのある会議を
場末の食堂に入ると、ときどき色褪せたメニューに出くわす。何十年間もメニューを変えずに、よく経営が成り立つと不思議に思う。
そこにしか食堂がないのだから、客には店を選びようがない。きっとそんなことだろうと推察する。
営業リーダーの会議も同じことだ。MRは上司を選べない。したがって、ひたすら時が過ぎるのを待つしか方法はないのである。
顧客ニーズを知らぬまま、定番料理を出し続ける店。営業会議も、似たようなケースが多い。会議案内の日付を、変えるだけのプログラム。
午前中は連絡事項。午後は顧客ごとの攻略状況の確認と積み上げ。これでは、MRの肥やしにはならない。
営業リーダーは、他のチームの会議を学ぶ機会がない。必然、独りよがりになりがちである。せめて、他の営業リーダーの会議案内を参考にしてほしい。それだけでも勉強になる。
会議には、メリハリをつけたい。連絡事項を事前にまとめて配布する。会議のときは簡単な質疑応答のみに留める。顧客別の進捗管理と積み上げは、MRと個別に実施する。
これだけで、プログラムは一新できる。MRのニーズに沿った形で、会議を運用できるようになる。
学術知識を高め、成功例の交換を行う。ロールプレイを導入する。ディスカッションを実施する。MRの発表時間を多くする。
実践に役立つプログラムは、ちょっとした工夫で生まれるものだ。会議は一ヶ月の総括と、明日のためにあることを忘れてはならない。
◆SSTが変えた会議
営業リーダーの「ワンマンショー」だった会議があった。SSTメンバーは、営業リーダーと話し合い会議のスタイルを変えた。
スクール形式の机の配置を、ロの字に修正する。ロの字の真ん中には、空のダンボール箱を設置する。MRの机の上には新聞紙を10枚ずつ配布する。
会議がはじまるとMRは、新聞紙を丸めて10個の紙玉を作る。ひとつ発言をすると、紙球はダンボール箱へ投げ入れられる。会議が終わるまで、紙球をゼロにしなければならないルールである。
これにより、会議の様相が激変した。ディスカッション中心の会議に、変わったのである。ゲーム感覚の会議は、MRからも歓迎された。
プログラムにも、大幅な手入れがなされた。「今月の自慢コーナー」が新設され、MRは最大の成果が生まれた背景を発表するようになった。
発表が終わったら、全員で今月のMVPを選出する。選出された人の昼飯代金は、投票率の低かったMRが支払う。MRたちは、次々とアイデアを出し合い、賑やかな発表会が生まれた。
成功例や失敗例の発表も追加された。来月のアクションプランも全員が発表し、共有するようになった。この発表では、顧客の現状と、「どんな方法で」をていねいに語らなければならないルールである。
◆ゴールを共有し成果を賞賛
会議のメインは、先月の成果と今月の具体的な活動発表にすべきである。チーム内のMR同士がお互いのゴールを知ることにより、知の交換が活発になる。
私はMRのアクションプランをオフイスの壁に張り、MRに毎日進捗状況を書き込むスタイルを推奨している。こうすることで、よい意味での競争が生まれる。よい競争は、やがて共創に変化する。
「何だ、まだ攻略できないでいるのか」
壁の張り紙を見て、MR同士がやり合っている。
「どんな具合なんだ」「それなら、これを使ってみろよ」
こんな自然な会話が乱れ飛ぶ。営業リーダーは、「場」作りのコーディネーターにならねばならない。
成果の発表には、拍手とブーイングが起きる。会議の形を見直し、オフイス環境を整える。その上でMRとともに、現場で汗を流す。チームが変わらないはずはない。
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